大切なことはヒゲが教えてくれた~川島正行調教師と南関競馬~




こんばんは。日本大学の松野です。





夏競馬が終わり、あっという間に秋のG1戦線が始まろうとしています。今年のサマーシリーズは非常に難解なレースが多かったという印象。そのため夏のレース結果がそのまま中央開催に繋がるか否かを注視していく必要がありそうです。新潟開催が続行する点も考えないといけませんね。厳しい戦いが続きます(苦笑)





それはさておき…いま日本中を席巻している話題といえば錦織圭選手の話題でしょう!
全米オープン準優勝惜しくも優勝は逃しましたが、日本テニス界における快挙と言えます。




そんな錦織選手は「エアケイ」などでメディアに注目される前から、アメリカ・フロリダを拠点に力をつけていました。思えばここ数年で、日本でもスポーツ海外留学が盛んになっています。そうした「海外から世界へ挑む」という姿勢は、競馬界にも広がりを見せているという今日この頃…。




既にミルコ・デムーロ騎手クリストフ・ルメール騎手が今年のJRA騎手免許試験受験を発表。デムーロ騎手は2度目の受験となりますね。もちろん2人の動向には注目が集まっていますが、このように今後は日本人が海外で活躍するだけでなく、外国人が日本を拠点に世界で活躍する機会も増えそうです。日本競馬のグローバル化は始まっています。




「グローバルな視点」に対する見解は人それぞれあることでしょう。僕は語学や価値観の問題よりも、「従来の考え方に捉われないこと」が大事だと考えます。それは「これまで培った経験や教え」を新しい発想と擦り合わせていく作業が必要になるとも言えます。






「従来の考え方に捉われない」南関東競馬だけでなく地方競馬を代表する調教師で、ファンからは「ヒゲ」の相性でも親しまれていた川島正行調教師は、まさにその持ち主です。





川島師は元々競馬界と特別な縁がありませんdした。船橋競馬場の林正夫(林正人調教師の実父)厩舎から騎手としてデビューすると、通算786勝・船橋リーディング1回という成績を残しています。川島師は調教師として評価される場合がほとんどですが、これは仕方ないことかもしれません。




この頃の南関競馬は、佐々木竹見、高橋三郎、赤間清松、松浦備 (※敬称略) といった名手揃い。その数年後に桑島孝春、的場文男、石崎隆之 (※敬称略) らが台頭してくることを考えると、いかに当時の南関東競馬が激戦区であるかよく分かります。




1984年の南関東クラシック。川島騎手が騎乗した3歳馬は、あのロツキータイガー。前哨戦に騎乗していた「義理の人」桑島孝春騎手が自厩舎の馬を優先したためです。羽田盃は後方からの競馬となり、追い込むも届かずの3着。東京ダービーは羽田盃馬キングハイセイコーを最後まで捕らえきれずの2着。結果的に2冠を逃す形となりました。




この時に戦った相手は、2冠馬に輝いたキングハイセイコーと、後に「とある事件」に巻き込まれてしまうステートジャガー。2頭が強い競馬を見せたと言えますが、奇しくも桑島騎手に主戦が戻るとロツキ―タイガーの快進撃が始まり、カウンテスアップやテツノカチドキとの長きに渡る戦いへ突入したことから、ファンの間で「桑島が乗っていれば…」というタラレバが生じる気持ちも分かります。




川島「騎手」としての功績は「ダイオライト記念3連覇」です。東京大賞典2着など活躍したエドノボルでの連覇も含まれますが、この馬を担当していたのは「名匠」向山昇厩務員。大井時代は様々な名馬を担当し、定年後セカンドキャリアとして川島厩舎に加わった大ベテランは、かつてエドノボルの石川厩舎に所属。長い年月を経て再び仕事を共にする事になりました。



1987年に騎手を引退すると、1990年に調教師として厩舎を開業。競馬界と特別な繋がりのないことから最初は苦戦を強いられますが、それでも友人の演歌歌手・北島三郎さんが所有するキタサンテイオーが平和賞で1着となり、僅か2年で重賞を初制覇します。このキタサンテイオーは全盛期を迎えた石崎隆之騎手を背に全日本3歳(現2歳)優駿を制覇しますが、その後脚部不安を発症。休養を経て中央に移籍します。順調に使うことができれば、もっと良い結果を残せたかもしれませんね。




入れ替わるように中央競馬から移籍してきたのは、モガミキッカとサクラハイスピード。モガミキッカは萩Sを、サクラハイスピードはいちょうSをそれぞれ2歳時に制していましたが、その後クラシック戦線、古馬になってからスランプに陥っていました。




ここに「川島再生工場」は本格的に開業します。再び「走る気持ち」を起こすことに成功した2頭は、南関東重賞戦線に挑戦。モガミキッカは船橋伝統の一戦であるダイオライト記念を、サクラハイスピードは川崎記念や東京盃などを優勝します。ちなみにサクラハイスピードの主戦だったのは故・佐藤隆騎手。地方出身の自分としては、現地で見たかった騎手の一人です。




圧倒的にバックアップの少なかった川島師は、「馬を集める」ために次々と新規開拓を行いました。営業の面はもちろんですが、厩舎に花を飾ったり、日頃の身だしなみを徹底しているという話は有名です。
確かに欧州競馬を見ていると、スタッフはお洒落ですし、厩舎は綺麗に整備されています。先日北海道の追分ファームなどを訪れた際も、見える場所が徹底されていました。こうした心構えも大事ですね。




川島師は、足元に不安のある馬や中央競馬で見限られた馬を次々と引き取っては「再生」していきます。1997・98年にはそれぞれサプライズパワーとアトミックサンダーで東京ダービーを連覇。共に舛添要一現東京都知事の所有馬ですが、それはさておき。




アジュディミツオーが表舞台に登場する頃には、厩舎の主戦が石崎騎手から大井の内田博幸騎手にバトンタッチ。そのアジュディミツオーは船橋生え抜きの競走馬。気性面の課題を改善しながら、地方競馬を代表するスターホースへと成長しました。ちなみに気性面と言えば、川島師はマグニフィカを復活させたほか、現在はクラーベセクレタも回復傾向にあります。引退までにもう一度力を見せることが出来るでしょうか。




ミツオーはドバイワールドカップに遠征し、ロージズインメイの6着。結果は残念でしたが、地方競馬からのドバイ遠征を見事に成功させました。今では南関競馬から韓国への遠征も恒例となりつつあります。これも、川島師が従来の考え方に捉われずに海外遠征という道を切り開いた結果かもしれません。アジュディミツオーは引退後種牡馬となり、先日初年度産駒のミツコが優勝しました。




調教師としての勝利数は通算1276勝、重賞通算139勝。なんといっても勝負の時の馬の仕上がりは、中央馬を超える雰囲気がありましたね。改めて、長い間お疲れ様でした。そして…ありがとうございました。今後は一番弟子の佐藤裕太元会長が開業予定。もちろん応援していきます!







さて、地方競馬の話題で論争の火種になるワードが幾つかあります。
「地方競馬は中央競馬の2軍だ。」「いや、そんなわけがない。」
「生え抜きじゃなければ活躍しても意味がない。」「地元馬のレベルが低くてつまらない。」

こうしたフレーズの本質は、競馬に限らず、多くの社会問題にも通じるところがありそうです。





川島師は、中央競馬リーディングを取り続けていた頃の藤沢和雄厩舎を研究していたように、中央競馬を「意識」していました。逆に中央競馬関係者にも、川島師を始めとする地方競馬での取り組みを意識している人物は少なくないと聞きます。そこに中央・地方の優劣はありません。





中央競馬と地方競馬。どちらにも良い部分と、課題があります。そしてそれらは関係者だけでなく、ファンも一緒になって考えていく必要があります。川島師は中央・海外競馬だけでなく、常にファンを「意識」していました。パドックで見かけるオシャレな姿はもちろん、ファンサービスや、ユーモアあふれるレース後のコメントなどが、まさにそれですね。また、ナイター競馬の計画にも協力的だったそうです。





一番最初の話に戻りますが、錦織圭選手の活躍の裏には世界ランキング最高2位という経験面とメンタル面で心強い味方となるマイケル・チャンのコーチ就任が大きいと報じられています。専属トレーナーのダンテ・ボッティーニと対照的な性格である彼の加入は、勝つために「従来とは違う考え方」を取り入れて、「意識」を改革することができた成功例と言えるのかもしれません。





私たちは馬に囲まれた生活を四六時中送っていませんし、正直ピンとこない事柄の方が多いです。だからこそ、これから少しでもファンと関係者の間にある壁を取り外していける機会を設けることが出来たらなと、そして、中央競馬と地方競馬の枠を取り払って、広い視点を意識しながら競馬をこれからも見ていきたい…なんて考えてみたりする晩夏でした。






さて、うまカレブログ内で行われている「夏の回収率王決定戦」も残すところあと1回となりました。
最終戦はセントウルSです。こちらもお楽しみに!
それでは…。

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全国の大学に在る競馬サークルのメンバーを中心とした競馬を愛する学生たちが既存の競馬ファンだけでなく、競馬をやったことのない人たちにも『競馬の楽しさや素晴らしさを伝えよう!』と立ち上げた学生団体です。

学生競馬ファンのリーディングとして、主に学生を中心とした同年代へ向けて、競馬の素晴らしさ、面白さを様々な視点やコンテンツを通じて紹介し、競馬文化の普及、競馬事業への文化的支援を行うことを目的としています。

オグリの時代に生まれた僕らで
オグリの時代の熱狂を、もう一度。

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