「どこまで行けば…サクセス」~ラムタラ死去に想う~

こんにちは。日本大学の松野です。




ゴールドシップが宝塚記念を優勝してはや2週間…




2013年度もサマーシリーズがスタートしています!
既に「サマースプリントシリーズ」は白熱していますが、「サマー2000シリーズ」は今週の七夕賞からスタートです。昨年度はトウケイヘイローが函館記念と札幌記念を連勝しチャンピオンに。一流古馬戦線の仲間入りを果たしましたね。



 
そんな七夕賞は過去に「1番人気馬が26連敗した」記録を持つ伝統のハンデキャップ戦として知られ、毎年馬券的にも面白いレースです。昨年度は、マイネルラクリマが1番人気に応えましたが、14番人気のタガノエルシコが3着に差してきて波乱となりました。(個人的には2着がトレイルブレイザーじゃなければ…)





夏の運試しに、遊び資金作りに…
今週末は「☆(穴馬)に願いを」込めて、ひと勝負してみては







さて…





今週はラムタラが死亡したというニュースが届きました。






ラムタラというと、今では「ヒルノダムールの母父」というイメージが強いかもしれません。
「ハマの番長」こと横浜DENAベイスターズ三浦大輔投手の所有馬リーゼントブルース、黒潮盃と戸塚記念を連勝した船橋のトラバージョも母父ラムタラに該当します。



そんなラムタラは「神の馬」とも称される競走馬でした。世界の競馬界でも名高いエプソムダービー(英ダービー)、キングジョージ6世&クイーンエリザベスステークス(キングジョージ)、凱旋門賞という欧州3大競走を完全制覇。通算成績も無敗の4戦4勝。まさに、1990年代を代表する「名馬」の1頭です。



一方で、不可解なままでのレーティング(競走馬の能力を格付けしたランキング)低評価や、種牡馬としての成績不振などから「不運な馬」とも評されることが多いです。中には、96年に日本に輸入されて06年に再び英国へ輸出されるに至るまでの経緯を「黒歴史」と語る人もいますね。




何を以て、この種牡馬は《成功》とするか…もしくは《失敗》とするか…。
その線引きは、競馬ファンによって違うことでしょう。




かつて日本競馬界は「種牡馬の墓場」と世界から言われていた時代がありました。現役時代は英愛ダービーやキングジョージを優勝しながらも、来日後産駒が中央競馬でオープン馬すら出せ無い、惨憺たる結果に終わったグランディ。最終的には繋養先を栃木、鹿児島と転々し、1992年にひっそり病死しています。



米年度代表馬にも輝いたファーディナンド(マンチェスターUで香川真司選手とも仲の良い選手ではないです)。ケンタッキーダービーやBCクラシックを優勝するなど通算成績29戦8勝を上げた同馬も、来日後の産駒成績は悲惨な結果でした。最後は「廃用」となり、消息を断ちます。後に、ロイターやAPなどで「食肉として処分された可能性が高い」という報道が成され、国内外で問題となりましたね。





話をラムタラに戻します。





毎年秋に、その年の欧州競馬界を表彰するカルティエ賞。ミルリーフ以来史上2頭目の欧州3大競走《英ダービー、キングジョージ、凱旋門賞》制覇を無敗で成し遂げたラムタラは、断然の年度代表馬候補として期待されていました。




ところが、年度代表馬に選出されたのはラムタラではありませんでした。受賞したのは牝馬リッジウッドパール。この年だけで愛オークス、コロネーションC、ムーラン・ド・ロンシャン賞、BCマイルを優勝しており、実績は申し分ありません。しかし、格式高い欧州3大競走を無敗で制しているラムタラとの差は一体どこなのか…この選考は物議を醸します。




背景には、前述した「レーティングの低さ」というのがありました。
このカルティエ賞は、各欧州重賞競走のレーティング、イギリス競馬記者の投票、そして競馬新聞の読者投票の合計ポイントで決定されます。当時のレーティング審査会は「ラムタラの勝ったレースは強いメンバーが揃っていなかった。また着差も接戦だった。」と見解し、ラムタラの勝った各レースに歴代でもかなり低い点数が付けられていたのです。




まず、個人的に「単純に着差だけで強さを判断する」というのは好きではありませんが…それを置いておいて、この時ラムタラはカーネギー、ペンタイア、スウェイン、ランドを僅差で完封。一方のリッジウッドパールは、クイーンエリザベスⅡ世Sで凱旋門賞馬サキ―の父でも知られるバーリに6馬身ちぎられた2着がありました。この辺り判断は難しいかもしれません。



低評価の背景にイギリス競馬界全体の「ゴドルフィンに対する不信感」があったという話もあります。昨年、ゴドルフィンの専属調教師であるマームード・アル・ザルーニ師がイギリス・ニューマーケットに在厩する管理馬十数頭に処置を施していたことが発覚した際も、この手の話はありましたね。



日本でも、ダーレージャパンの設立やアドマイヤムーン・シーチャリオットの移籍で揺れた際に、一部でそういった空気が流れた覚えがあります。あのジャパンカップの時がまさに…そうです。



もちろん、イギリス人の心情を計ることはできませんし、スキャンダルに対して「消費的な」記事や報道は日本でもよくある事です。一概に、イギリス競馬界全体がラムタラやゴドルフィンに否定的ということはないでしょう。しかし「過度な報道」は実際にあったそうですし、競馬は別に中東やアジアに対する偏見が残っているという話も聞きます。私たち人間は、「差別」と「偏見」ほど見て見ぬフリをしがちですから…






また、話が逸れてしまいました。
現役を退いたラムタラは、無事イギリスのダルハムホールスタッドで種牡馬としての生活をスタートさせます。日本からオファーが来たのは、その翌年です。



ラムタラを導入したのは日高地区の生産者と馬主たち。「アロー」の冠名でお馴染み矢野秀春氏や藤原牧場とブリーダーズユニオンの代表である藤原悟郎現ジェイエス会長が中心に立ちました。交渉に当たっては、1回目の提示額2000万ドル2回目の提示額2500万ドルでは断られ、3回目の提示額3000万ドルでようやく交渉が成立したそうです。




導入に当たっての一番の動機は「バブル崩壊による競走馬市場の冷え込み」でした。国内市場で盛況なのはノーザンテースト、サンデーサイレンスと次々成功を収める社台グループのみ。日高地区の生産者たちにとって、この事態を打開する「切り札」が必要だったのです。その「切り札」こそが、ラムタラ。




日高の負債総額は500億円以上。「金に物を言わせて種牡馬を買い漁る」なんて悠長な話ではありません。懸念する声もあった反面、ラムタラに「救世主になって欲しい」と期待した人は多かったことでしょう。





そして…




2006年。結果として種付け価格が50万まで下落していたラムタラは、24万ドルでダルハムホールスタッドに買い戻されました。その後は種牡馬を引退し、残りの余生を過ごすこととなります。




「精神力や根性で走るタイプは、潜在能力は高いタイプよりも種牡馬として成功の確率が低い」と言う話を聞きます。また、既に一大勢力を築きあげていたニジンスキーの直仔で、ノーザンダンサー2×4というクロスは、やはり繁殖馬を選びます。年月を重ねるごとに種付け頭数が減ったのも分かる気がしますね…まだ日本に母父ヘイロー、ミスプロ、グレイゾヴリン系が豊富でなかった時代です。仮にモハメド殿下が手元に残していても、ラムタラが種牡馬として成功していたかは分かりません。





とはいえラムタラが来た当時、多くの競馬ファンが興奮したのは事実ですし、今でも私たちの記憶に残る名馬に変わりはありません。




ラムタラの後に導入された、距離延長でお馴染みスキャターザゴールド。決して種牡馬として《成功》とは言えない成績でしたが、それでも天皇賞(春)で好勝負を見せたエリモエクスパイアがいて、シーズザゴールドは今でも金沢で頑張っていて…私たちの記憶に残っています。
また、シーロ産駒の重賞馬ブルーラッドは先日高知競馬で復帰しています。ただコロニアルアッフェアーは…残念ながら昨年アルゼンチンで亡くなっていますね。



他にも日本競馬の長い歴史の中で、数々の種牡馬が成績を残せずに消えていきました。
しかし、これら種牡馬導入の《失敗》の繰り返しがパーソロン、テスコボーイ、ノーザンテースト、サンデーサイレンスという大種牡馬を登場させ、《成功》を収めたことを忘れてはいけません




日本は《失敗》に厳しい国と言う人もいますが、他の国も《失敗》に十分厳しいと思います。
問題は「《成功》と《失敗》の捉え方」にあるのではないでしょうか。




「伝説の登山家」で知られるラインホルト・メスナーは、エベレストやナンガ・パルバットといった8000メートル峰や、南極大陸などの大陸横断に挑んでは、「無理だ」と思ったら直ぐに引き返していたそうです。 そして「今回は(も)ダメでした」と会見して、直ぐにまた再チャレンジして…ついに史上初の「8000メートル峰全14座完全登頂」を無酸素で成功させたのです。



この背景には、チャレンジする側だけでなく、チャレンジを受け入れる側にも「1つの《成功》と《失敗》に捉われない風通しの良さ」のあった事が、大きいと考えられます。





ラムタラの「導入」は《失敗》だと思います。
しかし、ラムタラが「日本に来たこと」が《失敗》だと、現段階では思えません。





後者の問いが《成功》か《失敗》か分かるのは、もっとずっと…未来の競馬界のはずだからです。私は一人の競馬ファンとして、これからも多くの《成功》《失敗》を見届けていきたいと、強く感じます。
















本日はここまでです。




さて、恐らくこの後うまカレブログの方では夏の新企画がスタートするかと思われます。
また、夏号のフリーペーパーも、間もなく完成の予定です。
こちら合わせてよろしくお願いします。





うまカレは、夏も競馬にアタックしていきますよ!




トラックバック


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

コメントの投稿

Private :

プロフィール

うまカレ


全国の大学に在る競馬サークルのメンバーを中心とした競馬を愛する学生たちが既存の競馬ファンだけでなく、競馬をやったことのない人たちにも『競馬の楽しさや素晴らしさを伝えよう!』と立ち上げた学生団体です。

学生競馬ファンのリーディングとして、主に学生を中心とした同年代へ向けて、競馬の素晴らしさ、面白さを様々な視点やコンテンツを通じて紹介し、競馬文化の普及、競馬事業への文化的支援を行うことを目的としています。

オグリの時代に生まれた僕らで
オグリの時代の熱狂を、もう一度。

※2005年より20歳以上であれば学生でも勝馬投票券を購入できるようになりました※

お問い合わせ
umacolle@hotmail.co.jp

HP
http://umacolle.web.fc2.com/

うまカレ紹介ムービー
http://www.youtube.com/watch?v=RfyrC-KbZQ4


umacolleをフォローしましょう


リンク
検索フォーム
最新記事
最新コメント
カテゴリ
月別アーカイブ